耐火性能検証法のしくみ

耐火性能検証法は性能規定の一つで、次式を確認できればその建物の主要構造部は耐火構造とみなすことができます。

▼対象とする建物で発生が予測される火炎による加熱に,火災が終了するまで耐えられること(次式を満たすこと)

各室ごとの火災継続時間 ≦ 各室の主要構造部材の保有耐火時

▼建築物の周囲で発生する通常の火災による火熱に、火災が終了するまで外壁が耐えら れること(次式を満たすこと)

屋外の火災継続時間 ≦ 外壁を構成する主要構造部材の保有耐

火災継続時間とは

「耐火性能検証法」では、計画中のプランについて上式を満たすように火災継続時間を調整します。
火災継続時間は図に示すように

  • 積載可燃物→室の用途によって決まる(倉庫960MJ/㎡,事務室560MJ/㎡,会議室160MJ/㎡)
  • 床・壁・天井などの内装可燃物→不燃・準不燃・難燃・木材によって決まるの合計発熱量
  • 開口部面積および高さに応じて算出した単位時間当たりの発熱速度で割ると求められます。

火災継続時間=合計発熱量/発熱速度

したがって、室の用途が倉庫(960MJ/㎡)や事務室(560MJ/㎡)などの可燃物収納量の多い室ほど火災時間が長くなります。

保有耐火時間とは

保有耐火時間は床・柱・梁などの主要構造部材の部位および鉄骨造・RC造などの構造種別ごとに、想定される火災に対して要求される性能を確保することができる時間です。
例えば鉄骨の柱はその柱が支える荷重が大きいほど、柱に加わる横向きの力が大きいほど、耐火被覆厚さが薄いほど保有耐火時間が短くなります。認定耐火部材を使用する場合は、その耐火時間が保有耐火時間となります。

「耐火性能検証」での外気開口面積の重要性

火災継続時間が保有耐火時間以上になってしまう場合には、外気に面する開口を大きくするか合計発熱量を減らすことが必要になります。
プランを大きく変えずに火災継続時間を減らすには外気に面する開口を増やすことが最も有効な方法になります。

外気に面する開口を大きくとると外気による冷却と熱の流出で火災時間が短くなります。

一方、スラブtoスラブの壁で囲われた開口の少ない室の用途が倉庫(960MJ/㎡)などの場合は、床面積の1/50以上の開口を設ければ他の室と可燃物量を平均化することで火災継続時間を短くすることが可能です。
床面積の1/50以上の開口は、下図に示すように普通ガラスによる扉や壁のほか天井懐の断面積を加算できます。

耐火性能検証法の基本ルール

耐火性能検証法では次の①~③を基本ルールとしています。

  1. 2つの火災室の間に1/50以上の開口を設けられる場合は、それらを一体の火災室とすることができる。
  2. 火災室が①に示す1/50以上の開口を有していない場合は単体の火災室とする。用途が倉庫の場合にはルートCによる検証が必要となる。

検証フロー

上記基本ルールによる耐火検証は、1/50の開口の有無や倉庫かそれ以外の用途によって検討方法が異なりますが、概ね図のようなフローでチェックを行います。